ヒトラー率いるナチ・ドイツがドイツ国内の権力を掌握した1930年代。隣国のオーストリアにもその勢力は拡大し、当時の首相シュシュニックの抵抗も空しく、1938年オーストリアはドイツに併合される。ロバート・ワイズ監督の『サウンド・オブ・ミュージック』でトラップ一家が国境を越えたその時代だ。本作は、そんな激動のオーストリア・ウィーンにやってきた17歳の青年と、精神科医ジークムント・フロイト教授との出会いと友情、そして若き青年にとっての初めての恋と成長を幻想的な映像美と共に描いた物語。
原作はウィーン生まれの作家ローベルト・ゼーターラーの「キオスク」。2012年の発行以来ドイツで50万部を超える売り上げを記録したベストセラーに惚れ込んだプロデューサーが、ゼーターラーを口説き映画化にこぎ着けた。
原作はウィーン生まれの作家ローベルト・ゼーターラーの「キオスク」。2012年の発行以来ドイツで50万部を超える売り上げを記録したベストセラーに惚れ込んだプロデューサーが、ゼーターラーを口説き映画化にこぎ着けた。
青年フランツの人生に大きな影響を与える人物として登場するのは、心理学の三大巨匠ともいわれるジークムント・フロイト。本作に唯一登場する実在の人物で、ファンタジーになりかねない本作を現実につなぎ止め、この物語にリアリティ溢れる情緒をもたらしている。そしてフロイト役に白羽の矢が立ったのが名優、ブルーノ・ガンツだった。『ベルリン・天使の詩』『ヒトラー~最期の12日間~』などで主演を務め、その名を世界に知らしめたガンツは、遺作となった本作で、ナチスによる抑圧や、老いによる病に耐えながらも、友人としてうぶな青年の人生に華やかな彩りを添え、その成長を手助けする人生の師を見事に演じている。
疑うことを知らない青年と成熟した老人
湖畔の故郷と激動のウィーン
対極の引き合いが夢のように劇的〜
悲劇に向かう時代の物語はドキドキするが、
後味が軽やか、原作も読んでみたい、この映画好きです....