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7月24日金より、Bunkamuraル・シネマほか全国公開
 ヒトラー率いるナチ・ドイツがドイツ国内の権力を掌握した1930年代。隣国のオーストリアにもその勢力は拡大し、当時の首相シュシュニックの抵抗も空しく、1938年オーストリアはドイツに併合される。ロバート・ワイズ監督の『サウンド・オブ・ミュージック』でトラップ一家が国境を越えたその時代だ。本作は、そんな激動のオーストリア・ウィーンにやってきた17歳の青年と、精神科医ジークムント・フロイト教授との出会いと友情、そして若き青年にとっての初めての恋と成長を幻想的な映像美と共に描いた物語。
原作はウィーン生まれの作家ローベルト・ゼーターラーの「キオスク」。2012年の発行以来ドイツで50万部を超える売り上げを記録したベストセラーに惚れ込んだプロデューサーが、ゼーターラーを口説き映画化にこぎ着けた。
 青年フランツの人生に大きな影響を与える人物として登場するのは、心理学の三大巨匠ともいわれるジークムント・フロイト。本作に唯一登場する実在の人物で、ファンタジーになりかねない本作を現実につなぎ止め、この物語にリアリティ溢れる情緒をもたらしている。そしてフロイト役に白羽の矢が立ったのが名優、ブルーノ・ガンツだった。『ベルリン・天使の詩』『ヒトラー~最期の12日間~』などで主演を務め、その名を世界に知らしめたガンツは、遺作となった本作で、ナチスによる抑圧や、老いによる病に耐えながらも、友人としてうぶな青年の人生に華やかな彩りを添え、その成長を手助けする人生の師を見事に演じている。
1937年、ナチ・ドイツとの併合に揺れるオーストリア。自然豊かなアッター湖のほとりに母親と暮らす17歳の青年フランツは、タバコ店の見習いとして働くためウィーンへやってきた。常連のひとりで“頭の医者”として知られるフロイト教授と懇意になったフランツは、教授から人生を楽しみ恋をするよう勧めを受ける。やがてボヘミア出身の女性アネシュカに一目惚れをし、はじめての恋に戸惑うフランツは、フロイトに助言を仰ぐ。しかし、時代は国全体を巻き込んで、激動の時を迎えようとしていた。
オーストリア併合
1934年、政権奪取を狙うナチ党が企てたクーデターによってドルフス首相が殺害される。後任のシュシュニック首相は自国の独立を維持しようと試みるが、ヒトラーは着々と圧力を強めていった。1938年、更なる譲歩を求めるヒトラーに反発したシュシュニックは、独立をかけた国民投票の実施を宣言するが、ナチスによる武力介入の圧力を受け国民投票は中止。3月13日ナチ・ドイツによるオーストリア併合が完了し、その後の国民投票によって合法化された。オーストリアが共和国として完全な独立を果たすのは1955年となる。ユダヤ人であるフロイトは1938年6月にロンドンへ亡命したが、がんの悪化により1939年9月23日に生涯を閉じている。
  • 1996年に俳優である両親の間にウィーンで生まれた。10歳でニコラウス・ライトナー監督のTVドラマ「DIE ENTSCHEIDUNG」でデビューを果たし、テレビ番組「Hannas Entscheidung」(2012年)、「Die Freischwimmerin」(2014年)、「Die Toten vom Bodensee」(2014年)やライトナー監督による「Die Stille danach」(2016年)に出演。若きアウトサイダーを演じたシュテファン・リヒター監督の『EINER VON UNS』(2015年)で、ロミー賞の最優秀若手俳優賞にノミネート、また18年にはドラマ「Schnell ermittelt」での演技が評価され、再び同賞の最優秀若手俳優賞に再度ノミネートされた。
    1941年にチューリッヒで生まれ、大学で音楽と演劇を学んだ。1960年に、『Der Herr mit der schwarzen Melone』で映画デビュー。その後ドイツに活動の場を移し重要な役者のひとりとして活躍するようになる。主な出演作に『ベルリン・天使の詩』(1987年)、『ヒトラー~最期の12日間~』(2004年)、『愛を読むひと』(2008年)、『手紙は憶えている』(2015年)、『ハウス・ジャック・ビルト』(2018年)、『名もなき生涯』(2019年)など。ガンツは、ドイツ連邦共和国功労勲章、生涯にわたる功績に対するゴールデン・カメラ賞、ドイツ語文化への貢献を称えられたカール・ツックマイヤー賞など数多く受賞している。2019年に死去、本作が遺作となる。
  • 1966年ウィーンに生まれ、1987年に俳優としての活動をスタートさせる。舞台やテレビ番組を中心に活躍しており『顔のないヒトラーたち』(2014年)、『熟れた快楽』(2016年)、『女は二度決断する』(2017年)などの作品に出演している。
    1995年ロシアで生まれベルリンで育つ。舞台での活躍を経て「Das Adlon. Eine Familiensaga」(2013年)、「Letzte Spur Berlin」(2015年)、「Und dann noch Paula」(2015年)、「Der Staatsanwalt」(2016年)、「Toter Winkel」(2017年)、「Tod im Internat」(2017年)など多数のTVドラマ、ショートフィルムに出演している。
1996年に俳優である両親の間にウィーンで生まれた。10歳でニコラウス・ライトナー監督のTVドラマ「DIE ENTSCHEIDUNG」でデビューを果たし、テレビ番組「Hannas Entscheidung」(2012年)、「Die Freischwimmerin」(2014年)、「Die Toten vom Bodensee」(2014年)やライトナー監督による「Die Stille danach」(2016年)に出演。若きアウトサイダーを演じたシュテファン・リヒター監督の『EINER VON UNS』(2015年)で、ロミー賞の最優秀若手俳優賞にノミネート、また18年にはドラマ「Schnell ermittelt」での演技が評価され、再び同賞の最優秀若手俳優賞に再度ノミネートされた。
1941年にチューリッヒで生まれ、大学で音楽と演劇を学んだ。1960年に、『Der Herr mit der schwarzen Melone』で映画デビュー。その後ドイツに活動の場を移し重要な役者のひとりとして活躍するようになる。主な出演作に『ベルリン・天使の詩』(1987年)、『ヒトラー~最期の12日間~』(2004年)、『愛を読むひと』(2008年)、『手紙は憶えている』(2015年)、『ハウス・ジャック・ビルト』(2018年)、『名もなき生涯』(2019年)など。ガンツは、ドイツ連邦共和国功労勲章、生涯にわたる功績に対するゴールデン・カメラ賞、ドイツ語文化への貢献を称えられたカール・ツックマイヤー賞など数多く受賞している。2019年に死去、本作が遺作となる。
1966年ウィーンに生まれ、1987年に俳優としての活動をスタートさせる。舞台やテレビ番組を中心に活躍しており『顔のないヒトラーたち』(2014年)、『熟れた快楽』(2016年)、『女は二度決断する』(2017年)などの作品に出演している。
1995年ロシアで生まれベルリンで育つ。舞台での活躍を経て「Das Adlon. Eine Familiensaga」(2013年)、「Letzte Spur Berlin」(2015年)、「Und dann noch Paula」(2015年)、「Der Staatsanwalt」(2016年)、「Toter Winkel」(2017年)、「Tod im Internat」(2017年)など多数のTVドラマ、ショートフィルムに出演している。
1957年オーストリア生まれ、『SCHWARZFAHRER』(1997年)や、『DREI HERREN』(1998年)を世に送り出し、オーストリア映画業界で成功を収めた。その後は、テレビドラマ「タートオルト」(2010年、2019年)をはじめ、「DER SCHUB」(2001年)、「STÄRKER ALS DER TOD」(2004年)、「DIE ENTSCHEIDUNG」(2006年)などドラマ作品を数多く手掛けている。
1966 年ウィーン生まれの作家・脚本家・俳優。俳優として活動する傍ら 2006 年に「ビーネとクルト」で作家 デビュー。本作で一躍人気作家となり、「ある一生」では 2015 年グリンメルスハウゼン賞を受賞、 2016 年に は英語訳がイギリスのブッカー国際賞の最終候補作となる。 「ある一生」は 2014 年の刊行以来、長らくベスト セラーリストにとどまり、ドイツ語圏で 80 万部を突破、37 か国で翻訳が決まっている。
東宣出版 訳=酒寄進一
美しい映画...
疑うことを知らない青年と成熟した老人
湖畔の故郷と激動のウィーン
対極の引き合いが夢のように劇的〜
悲劇に向かう時代の物語はドキドキするが、
後味が軽やか、原作も読んでみたい、この映画好きです....
夏木マリ
なんてロマンチックな映画だろう。匂いたつ映像の美しさに酔いしれる!
ブルーノガンツ演じるフロイトが素晴らしい!
その佇まいの色香にも痺れまくる…
監督の眼差しが本当に本当に最高!
素敵すぎるファンタジー!
竹中直人
俳優・映画監督
暴力や戦争に負けないエロス。
人間には「恋」が必要。
コロナ時代の今、まさに
フロイト先生の人生レッスンが輝く!
鎌田 實
医師・作家
身体が70%の水分で作られているならば、心体の100%は出逢いで出来上がっていくと思う。
逞しくなる、頼もしくなる、美しくも酷くも・・・無限に広がる人間の成長を優しく厳しく魅せてくれた。
萬田久子
女優
みた夢を書く、それは疑問を呈すること?
フロイトの言葉にはなるほど。
フランツは男になった!そしてアネーシュカ、もう一回やろぅ!
私は女がわからん、あのフロイトも女はわからへんらしい。もう一回みよぅ!
ps、母だからか?私にはチョット切ない映画だ。
綾戸智恵
ジャズシンガー
社会の理不尽さを知った青年の、
やり場のない哀しみと憤りは、
今、この不安定な時代を生きる私たちにも、
切実に共有できる感情だ。
石丸幹二
混沌とした時代に心通わせる青年とフロイト教授。
逡巡、熱情、信念。
だからこそ終盤に一瞬見せる、青年の笑顔の横顔とフロイト教授の言葉が、波紋のように心に響く映画です。
賀来千香子
女優
大人でも子どもでも無い青春時代に出会う様々な人々、そこから何を得るのか?
誰も生きる時代は選べないが生き方は選べる。
自分の名前を誇らしげに告げる主人公に胸を打たれる。
小堺一機
見終わった時、アッター湖畔の景色のように静かに心の奥に染み込んでくる。
ナチスが台頭するウィーンで、時代に翻弄されながら成長する青年の姿と年齢を超えたフロイト教授との関係に感動します。
一路真輝
女優
若者は、熱くごつごつ成長する。
時代は、ひんやりなめらかに変化する。
その見事な交差点で、何度も息を呑んだ。
俵万智
歌人
この映画は最後まで観たほうがいい。
ラストで主人公がとった行動に涙が出た。
どんな時代であろうと、他人の人生を奪ってはいけないのだ。
一生懸命生きること、愛する人を幸せにしたいと願うこと。
そんな人々が祝福される世界をつくるのは 誰でもない、私たちなのだ。
平原綾香
歌手
舞台劇を見るような濃密な画面から、1937年の匂いが立ち昇る! 恐ろしい歴史の真っ只中なのに、会話が詩のように美しい。 17歳の少年の見る「夢」のシーンに、あの時代のシュールリアリズムが感じられるのも嬉しかった。
加藤登紀子
歌手
ナチスはあくまで後景で、17歳の少年の瑞々しい恋や煙草屋の店主やフロイトとの心温まる交流がメインだ。
だからこそ突然愛する人の命や尊厳を奪うナチスの残虐さが浮き彫りになる。
お見事! 美しい夢のシーンも必見。
夏目深雪
映画批評家
人生を味わわせてくれるものを売る店で、教えを受けた若者は心と欲求に素直になり、愛を知り、さなぎから蝶になる――ただし、平和な時代であれば。
はじめて吸う煙草のように苦く、湖底のように深い余韻にただ浸る。
深緑野分
作家
大人への階段。よく聞くフレーズだけれどフランツのそれはまるで深い湖の底へと続くよう。
薄暗い影が時代を覆う。抗うことを覚えながらパッときらめく明るく幸せな瞬間もつかんでいく。
先が見えない時代に、大切な何かを見つけてはつかみ、手放さないことの美しさを我々に気づかせてくれる青春の物語であった。
ロバート キャンベル
日本文学研究者
フロイトが生きた、危機と隣り合わせの時代背景を垣間見るとともに、アンナ・フロイトもいるフロイト家の様子が描かれることに、ミーハーな興奮を覚えました。それにしても、フロイトに直接恋愛相談ができるなんて、とんでもなく貴重なことだぞ、と主人公に言いたいです。
星野概念
精神科医 など
届かない大人の思いがやるせない…。
正しい言葉を沢山拾えているにも拘わらず
それでも違う答えを出すのが17才なのかも。
風吹ジュン
女優